1 上場企業の間で、株式の待合いが増加傾向に

 1999年から2004年までに上場企業間の株式の持ち合いは著しい減少傾向にありました。
 1999年の持ち合い比率(※1)は約20%でしたが、2004年頃までの5年の間に10%近くまで減少したのです。

 ところが、2005年から2008年にかけて、再び株式の持ち合いが上昇傾向に転じました。

※1 持ち合い比率=持ち合い株(時価)÷市場全体の時価総額

2 株式持ち合いの類型

 株式の持ち合いは、大きく分けて、次の3類型に整理できます。
(1)取引先関係強化型
(2)旧財閥系連携強化型
(3)敵対的買収・株主総会対策型

 取引関係強化型は最も多く、東芝とキャノン、JR東日本と川崎重工、三菱電機、パナソニックとダイキン工業、王子製紙と凸版印刷など数多くあります。
 これは緩やかな資本提携を通じて、「垢の他人じゃないよ」という意識を醸成することによって、取引関係を強化しようという意図だと思います。

 旧財閥系連携強化型の例としては、三菱電機と三菱地所、東レと三井不動産の株式持ち合いが挙げられます。
 これは、もともと強いグループ関係にあった企業同士が、さらに関係強化を再確認するためでしょうか。

 最後は、敵対的買収・株主総会型の株式持ち合いです。これは、お互いに相手の株式を保有することによって、敵対的買収や株主総会に備えて、特に有事の際に協力し合いましょうという合意ですね。このような例としては、学習研究社と富士ソフト、早稲田アカデミーの株式相互保有があります。学習研究社は、表向き「取引先との関係強化が目的」と説明していますが、同社は、筆頭株主の投資ファンドと対立しており、2009年の株主総会でも、会社提案を反対されてます。早稲田アカデミーも、同業者であるナガセに株式を買い集められたため、買収防衛策を導入したといういきさつがあります。

 この3類型は、相互に排斥する関係にあるわけではなく、複数の類型にまたがっているケースもあると思います。例えば、旧財閥系の連携強化型でも、取引関係が存在すれば、取引関係強化型を兼ねているでしょうし、取引関係強化を考える企業同士が、敵対的買収対策も考慮して株式の相互保有を推進する場合もあるからです。

3 投資家からは評判が悪い

 このような株式の持ち合いの増加傾向は、一般的に投資家(株主)には評判が悪いようです。
 特に、敵対的買収・株主総会対策型は、他の株主の意向を排除して会社の方針を押し通そうという意図が見えます。
 また、そのような場合でなくても、一般に他社の株式を多く保有するということは、それだけ株式評価損が計上されるリスクが高まることも意味しています。
 これが必ずしもバカになりません。例えば、新日鐵は、金融危機の影響を受け、2009年度3月期の決算で、664億円もの評価損を計上しています。

 これに対する関係者の対応はというと、例えば、日興アセットマネジメントは、投資先の企業に対して、株式持ち合いの残高や理由などの開示を義務づけることにしたようです。
 また、金融庁も、持ち合い残高や理由の開示を義務づける方向を打ち出しています。